日本胸部疾患学会雑誌
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検診時無症状で発見された孤立性右肺動脈欠損症の1例
白井 敏博佐藤 篤彦谷口 正実妹川 史朗中澤 浩二福本 義裕西山 照正高山 真一
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1992 年 30 巻 6 号 p. 1158-1164

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抄録
症例は呼吸器症状のない40歳女性で, 胸部検診で異常陰影を指摘され精査目的にて入院した. 胸部X線写真で, 右側の肺血管影の減少と肋間腔の狭小化, 横隔膜の挙上, および縦隔の右方偏位を認めた. 右肺野には不鮮明で融合傾向を有する小粒状影が散布し, 左肺は気腫性変化により透過性が亢進し, 右胸郭内へのヘルニアも伴っていた. 肺血流シンチで右肺血流は認められず, 換気シンチでは両側一様に換気されていた. また, 気管支造影所見はほぼ正常であった. 心臓カテーテル検査を施行したところ, 肺動脈圧は正常であったが, 肺動脈造影で右肺動脈が完全に欠損し, 他に心大血管奇形を合併しないことから孤立性右肺動脈欠損症と確定診断した. 大動脈造影では気管支動脈, 下横隔膜動脈, 右冠動脈からの側副血行路が確認された. また, 胸部CTでは患側肺に嚢胞性変化が認められた.
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