日本胸部疾患学会雑誌
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免疫抑制剤の併用が有効であった慢性関節リウマチに伴う Bronchiolitis obliterans organizing pneumonia の1例
近藤 康博滝 文男安藤 守秀生田 順也松本 浩平田中 斉鈴木 隆二郎山木 健市高木 健三河端 美則Kenji Suzuki
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1992 年 30 巻 6 号 p. 1165-1170

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抄録
症例は56歳, 男性, 会社員. 慢性関節リウマチ (以下RA) に対してアザチオプリン使用中に労作時呼吸困難, 発熱, 右胸痛が出現し来院. 胸部レ線上, 両下肺野に間質性陰影と右胸水を認めた. 各種抗生物質に反応せず開胸肺生検を施行した. 病理所見は間質炎優位の Bronchiolitis obliterans organizing pneumonia (以下BOOP) の所見であり, 臨床経過等よりアザチオプリンによる薬剤性肺炎の可能性は否定的と考え, RAに伴うBOOPと診断した. 生検後よりステロイドパルス療法を2回施行し, さらにプレドニゾロン40mg/dayを投与するも改善が乏しいためサイクロフォスファマイド50mg/dayを併用したところ胸部レ線, 肺機能, 血液ガスいずれも明らかな改善を認め, 以後は順調に経過している. 一般にはステロイド剤に反応性が良く予後良好とされているBOOPも, 病因および病理像で治療に対する反応性に差がある可能性があり, そのことを念頭において治療を考える必要があると思われる.
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