日本胸部疾患学会雑誌
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末梢血リンパ球のプロトン磁気共鳴スペクトルによる間質性肺疾患活動性診断の試み
塩谷 寿美恵福崎 稔沓沢 智子岡本 正史太田 保世山林 一
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1993 年 31 巻 10 号 p. 1245-1250

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抄録
我々は, プロトン磁気共鳴スペクトル法 (1H Magnetic Resonance Spectroscopy: 1H-MRS) を用いて, 静脈血から分離した106-107個のリンパ球のスペクトルを測定する方法を開発した. 本研究では, その病態にリンパ球の関与が考えられる疾患として, サルコイドーシス (サ症), 間質性肺炎者を対象に選び, この方法でリンパ球の変化が捉えられるか否かを検討した. スペクトルピークの定量化は自家製の Gaussian curve fitting ソフトにて行った. サ症, 種々の原因による活動性の間質性肺炎を有する症例では1H-MRスペクトルの (CH2)n, CH3ピークが正常コントロール群に比し有意に増高していた. また, サ症が改善した例, 非活動性の間質性肺炎例では正常パターンを示した. これら疾患でみられた1H-MRスペクトルの変化は, 細胞が活性化したときに見られる所見と一致しており, この方法は, 各種疾患におけるリンパ球の活性化を評価しうる検査法であることが示された.
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© 日本呼吸器学会
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