日本胸部疾患学会雑誌
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在宅酸素療法からみた珪肺症患者についての検討
谷 憲治坂東 政司
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1993 年 31 巻 3 号 p. 341-345

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抄録

在宅酸素療法 (HOT) からみた珪肺症患者の臨床経過について検討した. 昭和60年12月より平成4年3月までに当院でHOTを施行した呼吸不全患者は68名で, その基礎疾患は珪肺症が最も多く34.3%を占めた. 珪肺症患者の5年生存率は慢性閉塞性肺疾患や肺結核後遺症と比較して低いのに対して低酸素血症の進行は軽度であったことから, 珪肺症の予後には肺性心など低酸素血症以外の因子の関与も大きいことが示唆された. 珪肺症患者をHOT施行群と未施行群で胸部レントゲン所見を比較した結果, 前者に大陰影の存在する症例が多くみられ, 粒状陰影よりも大陰影の存在が珪肺症患者における低酸素血症や肺機能低下に大きく関与すると考えられた.

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