抄録
結核性膿胸の剥皮術後に発生した再膨張性肺水腫の2症例を経験した. 2例とも肺の圧排されていた期間が比較的短い結核性全膿胸であり, 術前に閉鎖性ドレナージを施行した. 1例はドレナージ後, 右肺全葉の拡張が不良で剥皮術後, 全肺野の再膨張性肺水腫となりステロイド療法と人工呼吸管理で治癒した. 他の1例はドレナージ後, 右中下葉の拡張が不良で剥皮術後, 中下葉の再膨張性肺水腫となり, ステロイド療法のみで治癒した. 比較的経過の短い結核性全膿胸の剥皮術後, 術前に拡張の悪い肺領域に再膨張性肺水腫の発生することがあるため, 術後管理に注意を要すると思われた.