日本胸部疾患学会雑誌
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三次元CTを利用した肺野小型肺癌の画像的解析
山田 耕三野村 郁男松村 正典野田 和正
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キーワード: 肺癌, 診断, 三次元CT
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1993 年 31 巻 8 号 p. 959-970

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抄録
三次元CT (3D-CT) の有用性を検討する目的で, 3D-CTが撮影された29例の肺野型肺癌例のCT画像における肺血管と病変の関係, および病変の辺縁の性状について prospective に解析し, その病理所見と比較検討した. 内訳は男性20例, 女性9例であり, 年齢は38~75歳 (中央値: 65歳) であった. CTは東芝製TCT-900Sを使用し, 通常CTの撮影後, helical scan 法でCT寝台を2mm/秒で動かしながら撮影した. CT画像は高分解能条件で再構成し (WL-600, WW1900), 10mm幅の通常CTと2mm幅の thin-slice CT および肺血管と病変のみを描出した3D-CT画像を比較検討した. 肺血管が病変に巻き込まれるその描出能は通常CT画像47%, thin-slice CT 画像87%,3D-CT画像96%であり, 3D-CT画像での描出能は通常CT画像に比較して有意の差を認めた (p<0.01). また病変の形態学的特徴も, 3D-CT画像は通常CT画像より正確に描出が可能であった. 以上, 3D-CT画像は肺野小型病変の質的診断にさらに寄与する可能性が示唆された.
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© 日本呼吸器学会
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