日本胸部疾患学会雑誌
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器質化肺炎の臨床病理学的検討
吉野内 猛夫大朏 祐治久保 克仁佐藤 博彦水戸川 剛秀
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1993 年 31 巻 8 号 p. 951-958

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抄録
経気管支肺生検 (TBLB) にて器質化肺炎 (OP) と診断された16例につき臨床病理学的検討を行った. 症例は高齢, 基礎疾患, 発熱と何らかの呼吸器症状を有し, 低栄養, 炎症所見陽性, ツ反応陰性, 高補体価が認められた. 病理所見では masson 体中の fibrin の有無により2種類の器質化過程を確認した. 治療は steroid 投与12例経過観察2例の内, 9例は胸部X線上陰影が完全に消失し5例は陰影が残存した. 病理所見と予後との関連では, 陰影が消失した9例は全例 masson 体中の fibrin 陰性の症例であり, 陰影が残存した5例は fibrin 陽性例であった. 以上の結果からOPの器質化には次の2種類の器質化過程が存在することがわかった. 一つは fibrin の関与する線維化で, その病因としては感染が最も考えられ steroid に対する反応性は悪い. もう一つは fibrin の存在しない或は関与しない線維化でBOOPと類似しており, 病因は不明であり, steroid に対する反応性は良好なものである.
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