抄録
肺性肥大性骨関節症 (pulmonary hypertrophic osteoarthropathy: PHO) は, 肺癌などの呼吸器疾患に伴い, 長管骨の骨膜新生, 関節炎, およびバチ状指などの病態を呈する症候群である. 成因は未だ明らかではない. 我々は, PHOを合併した肺癌患者において, 原発巣切除後速やかな症状の改善を認めた2症例を経験したので報告する. 2症例とも男性で, 末梢型の低分化型肺腺癌 (pT2N0M0, Stage I) であった. 術後麻酔から覚醒した時点で骨・関節の疼痛は速やかに消失し, 骨スキャン所見や骨X線所見は遅れて改善した. 2症例のうち1症例は, 骨単純X線写真では異常は認められず, 骨スキャンにおいてのみ異常が検出され, 術後1ヵ月でその異常はほぼ完全に消失した. PHOの検出および経過の評価には, 骨スキャンが良い手段であることが改めて確認された.