日本胸部疾患学会雑誌
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郭清リンパ節にクリプトコッカス菌体を認めた肺腺癌の1切除例
押川 克久大野 彰二北村 諭蘇原 泰則藤井 丈士
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1994 年 32 巻 3 号 p. 283-287

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抄録

症例は68歳, 女性. 胸部X線写真にて右上肺野に異常陰影を指摘され, 経気管支肺生検を施行. 高分化腺癌との組織診を得, 右上葉切除術およびリンパ節郭清術 (R2) を施行した. 術後病理学的病期は, pT1N0M0, stage I であったが, 郭清リンパ節 (#2, #3, #4) には多核巨細胞を伴う2種類の類上皮細胞肉芽腫を多数認めた. いくつかの肉芽腫では壊死がみられその中にクリプトコッカスの菌体を多数認め, クリプトコッカスの感染による肉芽腫性病変と診断され, その他の肉芽腫はサルコイド反応と診断された. 本症例にみられる肺門・縦隔リンパ節のクリプトコッカスの感染は, Baker の提唱する「Primary pulmonary lymph node complex of cryptococcosis」という概念に該当するものと考えられ, 文献的考察を加えて報告した.

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