日本胸部疾患学会雑誌
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肺血流短絡, 肺水腫量修飾因子としてのシクロオキシゲネース系代謝産物の意義
山口 佳寿博森 正明高杉 知明小山田 吉孝河合 章浅野 浩一郎青木 琢也藤田 浩文鈴木 幸男
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1994 年 32 巻 4 号 p. 302-308

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抄録
オレイン酸急性肺損傷犬50頭を用いて血管作動性シクロオキシゲネース系代謝産物がシャント血流量 (QS/QT) ならびに肺血管外水分量 (ETVI) に対して如何なる影響を及ぼすかを検討した. シクロオキシゲネース活性をインドメサシンによって抑制すると血中トロンボキサンB2 (TXB2), 6-ケト・プロスタグランジンF (6-keto-PGF) の低下に伴いQS/QTの減少を認めた. 同時にインドメサシンはETVIの増加を抑制した. TXA2合成酵素阻害薬 (OKY-046) の投与によって血中TXB2の低下と6-keto-PGFの上昇が観察され同時にQS/QTの増加を認めた. 合成プロスタサイクリン (PGI2) の投与によってQS/QTが増加した. OKY-046, PGI2投与群におけるETVIは有意に増加した. 以上より血管拡張性PGI2はオレイン酸急性肺損傷においてシャント血流ならびに水腫液貯留を増悪させるものと考察した.
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