抄録
悪性中皮腫7例のCT所見を検討した. 対照として癌性胸膜炎を有する肺癌9例, 結核性胸膜炎11例を選んだ. 5人の悪性中皮腫については入院時と1~7ヵ月後の2回について検討した. 悪性中皮腫と結核性胸膜炎は胸膜の結節性変化の有無, 胸壁への浸潤の有無により鑑別はある程度可能と考えられた. 悪性中皮腫と癌性胸膜炎を明瞭に区別する所見は発見出来なかったが, 悪性中皮腫に特徴的な所見としては, 胸膜の円周性の肥厚が比較的短時間で出現し, 時間を追って検討すると, かなり高頻度に認められること, 胸壁への直接浸潤の傾向が強いことであった. 好発部位については, 我々は胸膜を上前方, 上後方, 下前方, 下後方の4つの部位に分けたところ, 胸膜病変は悪性中皮腫では上方よりも下方に所見が出現しやすいことが明らかとなった.