1994 年 32 巻 8 号 p. 747-751
胸部X線写真で肺結核を疑われ, 気管支鏡検査を施行し, 経気管支生検の組織診で結核と診断された15例と, 治療的診断で肺結核と診断された15例について, 生検材料よりDNAを抽出し, Polymerase chain reaction (PCR) 法を用いて結核菌の検出を試みた. 組織診陽性15例中PCR陽性は8例 (生検材料の結核菌塗抹陽性培養陽性7例, 塗抹陰性培養陽性1例), 組織診および塗抹培養ともに陰性の15例は全例PCR陰性であった. 生検材料からでもPCR法による結核菌の検出は可能であり, 塗抹陰性培養陽性の1例は培養結果を待たずに結核菌と同定できた. また塗抹陽性の7例でも迅速に結核菌と同定できた. しかし組織診は陽性であるが培養陰性の6例は結核菌を検出できず, 組織からのDNA抽出方法を工夫したり, 検出感度を高めるために nested PCR 法を用いることを考慮する必要があると思われた.