慢性型特発性間質性肺炎 (IIP) 11例 (このうち5例は原発性肺癌合併例, 他の6例は非合併例), 急性型IIP 6例, 対照として肺胞性肺炎 (AP) 5例, 計22例をそれぞれ剖検例肺につきテネイシンの局在について免疫組織化学的に検索した. 慢性型IIPの蜂窩肺部では, テネイシンは化生上皮の基底膜とともに線維性に厚く肥厚した胞隔の上皮下間質に染色され, 非蜂窩肺部では, 線維性に肥厚した胞隔の一部に染色された. 肺癌合併IIPでも肺癌非合併IIPでもテネイシンの分布はまったく同じであった. 急性IIPでは肺胞壁の他に, 器質化のはじまった硝子膜と線維素の器質化部に染色された. APでは器質化のはじまった肺胞内線維素塊に染色されたが, 肺胞壁にはほとんど染色されなかった. テネイシンは, 肺の線維化と構造改変に関与し, IIP合併発癌の promotion の1つの役割をなすと考えられた.