日本胸部疾患学会雑誌
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わが国の喘息患者における吸入, および内服ステロイド療法と副腎皮質機能
長谷川 幹石原 享介松本 久子冨岡 洋海岡崎 美樹片上 信之坂本 廣子梅田 文一片山 覚
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1994 年 32 巻 8 号 p. 757-762

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抄録

BDP吸入中の喘息患者94例の副腎皮質機能を rapid ACTH test を用いて検討した. 患者を最近1年間の治療内容からBDP+短期ステロイド内服群 (B+S群),BDP+経口ステロイド常用群 (B+R群), およびBDP単独群の3群に分類した. ACTH負荷前の血漿コルチゾル値, 負荷後の最大コルチゾル値, および前値からの上昇はいずれもB+R群で他の2群に比べて有意に低値であったが, B+S群と単独群との間には有意差を認めず, ACTH に対する反応性から副腎皮質機能の抑制ありと判定された症例も, B+S群41例中4例 (9.8%), B+R群19例中10例 (53%), 単独群34例中1例 (2.9%) で, B+R群に有意に高率であったが, B+S群と単独群との間には有意差を認めなかった. BDPに短期の経口ステロイドを加えた治療は, その安全性からみてBDP単独による治療と同等である.

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