抄録
農夫肺症と診断後12年にわたる経過中徐々に肺の線維化が進行し, その後自然気胸が生じた症例を経験したので報告する. 症例は56歳, 女性. 1979年頃より徐々に咳嗽が出現し, 1981年農夫肺症と診断された. 入院加療により胸部X線写真上, 両下肺野はごくわずかの粒状影を残すのみで著明に改善した. その後も時に牛舎内で作業し, その際咳嗽がひどくなり, 3回当科に再入院した. 1993年4月, 咳嗽後突然胸痛と呼吸困難が出現し, 当科に入院した. 入院時の胸部X線写真で右肺の気胸と診断された. 気胸改善後の胸部X線写真では, 両側肺の著しい線維化と肺野の縮小を認めた.