日本胸部疾患学会雑誌
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32 巻, 9 号
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  • 野村 将春, 安井 正英, 藤村 政樹, 中村 忍, 松田 保
    1994 年 32 巻 9 号 p. 825-830
    発行日: 1994/09/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    様々なびまん性肺疾患では肺でのリンパ球 (以下Ly) と肺胞マクロファージ (以下AMP) の活性化が報告されている. 今回, 細胞全体の活動性を示す argyrophilic proteins of the nucleolar organizer region (Ag-NORs) を両者で測定し, 病期や活動性との関連を検討した. 健常者7例 (以下C群), サルコイドーシス (以下Sa症群) 36例, 進行性全身性硬化症 (以下PSS群) 6例, 過敏性肺臓炎 (以下HP群) 10例, 麻疹肺炎 (以下MP群) 6例, マイコプラズマ肺炎 (以下 Myco 群) 6例を対象とした. 肺胞洗浄液の塗沫標本を one-step silver 染色し, AMP及びLyの各々300個について Ag-NORs の個数を計測した. これらを各群間で比較した. AMP, Lyの Ag-NORs 数は正常者に比較してびまん性肺疾患群で有意に上昇していた. 特にHPや感染症 (MP, Myco) などの急性炎症反応を示した症例では多かった. またSa症においては病期, 他臓器合併症の有無, ステロイド投与の有無, 67Ga scanning の集積所見の違いで比較し, さらに従来の活動性の指標と対比させ相関を調べたが有意差はなく, 従来の活動性の指標 (BALFの細胞成分およびCD4/CD8比, 血清ACE値, 67Ga scanning) との相関も認められなかった. 一方, HPではLyの Ag-NORs 数と HLA-DR 陽性CD8Ly比率, CD4/CD8 ratio との間に相関が見られた. MPでは活動期に上昇し, 寛解期では正常化していた.
  • 西村 善博, 仲田 裕行, 大西 尚, 竹中 和弘, 前田 均, 横山 光宏
    1994 年 32 巻 9 号 p. 831-835
    発行日: 1994/09/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    僧帽弁狭窄症患者において経皮的僧帽弁交連切開術 (PTMC) 前後での気道過敏性の変化を検討した. 僧帽弁狭窄症患者10例 (男性2例, 女性8例: 平均年齢52.9±6.6歳) を対象とし, PTMC前及びPTMC一週間後の同一時刻に肺機能検査及びアストグラフ法を用いた気道過敏性測定を行った. PTMCにて10例中9例で著明な血行動態の改善と気道過敏性の低下改善を認め, 3例に気道過敏性の消失を認めたが, 6例には残存した. 10例中1例は, PTMC後僧帽弁逆流が高度となり, 気道過敏性の亢進を認めた. 以上より, 肺うっ血の改善が気道過敏性の低下改善を示したものと考えられたが, PTMC後も気道過敏性の残存した症例のあることより気道過敏性と気道の器質的変化との関連性が示唆された.
  • 松瀬 厚人, 渡辺 尚, 藤原 千鶴, 高尾 真子, 友永 淑美, 犬山 正仁, 下田 照文, 河野 茂, 浅井 貞宏, 原 耕平
    1994 年 32 巻 9 号 p. 836-842
    発行日: 1994/09/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    当院で経験したアレルギー性気管支肺アスペルギルス症 (allergic bronchopulmonary aspergillosis) 6例について, 臨床的な検討を加えた. 6例中4例は, 当初肺結核と診断されて抗結核薬の投与を受けていたため, ステロイド投与までに時間を要し, 不可逆的な肺機能障害を認めた. 早期診断に際しての重要なポイントは, (1) 肺結核との鑑別, (2) 気管支喘息の合併の有無にとらわれない, (3) Aspergillus fumigatus 以外の真菌によるアレルギー性気管支肺真菌症 (allergic bronchopulmonary fungal disease) の存在に留意する, 等であった.
  • 鈴木 道弘, 小林 弘祐, 冨田 友幸
    1994 年 32 巻 9 号 p. 843-850
    発行日: 1994/09/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    安定期の気管支喘息患者と気道過敏性充進がみられた被検者にメサコリン吸入を行い, 低酸素血症を生じた19例を対象とした. 低酸素血症の原因を明らかにする目的で, 吸入前後に酸素飽和度 (SpO2), 分時換気量 (VE), 呼気終末炭酸ガス分圧 (PETCO2), ガス交換率 (R) を経時的に測定した. 低酸素血症時Rが低下する群 (R低下群, 14例) において吸入前と吸入直後でSpO2は97±1.3 (以下, mean±1SD)から96±3.6%となり, VEは8.6±1.2から13.4±2.6l/min (p<0.01), PETCO2は38.5±2.3から29.1±4.4Torr (p<0.01) と過換気を呈し, Rは0.86±0.04から0.98±0.19に増加 (p<0.05) し, その後SpO2は89±2.4%と低下(p<0.01)し, VEは9.7±3.8l/min (p<0.01), PETCO2は34.9±5.3Torr (p<0.01) と過換気は改善し, 同時にRは0.67±0.05と低下 (p<0.01)した. 低酸素血症時R不変群 (5例) では過換気が遷延した. R低下群の低酸素血症には, 過換気後の低酸素血症が関与していると考えられた.
  • 松井 茂, 中澤 次夫
    1994 年 32 巻 9 号 p. 851-855
    発行日: 1994/09/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    高齢のらい腫型らい患者の院内肺炎12症例 (男9例, 女3例, 平均75.8歳) の14株について臨床細菌学的検討を行い, その結果に基づき gentamicin とβ-ラクタム剤併用の empiric therapy を実施した. 喀痰からの分離菌は, グラム陰性桿菌が10株 (71%) で, クレブシエラ6株, シトロバクター・エンテロバクター・セラチア・アエロモナス各1株であり, グラム陽性球菌が4株 (29%) で, ブドウ球菌2株, レンサ球菌, 肺炎球菌各1株であった. MRSAや緑膿菌は検出されなかった. 薬剤耐性率では, gentamicin が7.7%と良好であり, ceftazidime 0%, cefmetazole 23.1%とセフェム系抗生物質はペニシリン系に比べ優れていた. 7症例に対する empiric therapy の結果, 治癒が6例, 一時有効が1例であった. 高齢入院患者の多い医療施設での院内肺炎起炎菌の臨床細菌学的検討による施設独自の empiric therapy の必要性が示され, 高齢者院内肺炎に対する gentamicin とβ-ラクタム剤併用療法の有用性が証明された.
  • 伸展固定肺による形態学的検討
    吉田 和浩, 小場 弘之, 五十嵐 知文, 中川 晃, 西山 薫, 原田 尚雄, 斉藤 司, 阿部 庄作
    1994 年 32 巻 9 号 p. 856-860
    発行日: 1994/09/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    Swyer-James 症候群の組織形態学的検討を行った. 症例は67歳, 女性. 胸部写真で異常影を指摘され精査目的に入院. 検査の結果 Swyer-James 症候群に伴う肺腺癌と診断し, 左全肺摘出術が施行された. 手術の後, 上葉を伸展固定し組織形態を観察した. 肉眼的には気管支壁の不整, 気管支拡張と汎小葉性肺気腫に類似した末梢気腔の拡張が主な所見であった. 組織学的には肺胞壁の破壊を伴う末梢気腔の拡張の他に細動脈周囲の線維化病変が認められ, 閉塞性細気管支炎と考えられた. 毛細血管床は減少していた. これらの変化は肺組織の成長阻害による低形成が原因と推察された.
  • 井上 修平, 鈴村 雄治, 高橋 憲太郎
    1994 年 32 巻 9 号 p. 861-866
    発行日: 1994/09/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    48歳, 男性に発症した間質性肺炎を経験した. 給湯用の銅管溶接作業に従事し, 約7時間の作業終了前頃より悪寒, 発熱がみられ, 呼吸困難となり紹介入院となった. 胸部X線写真で両肺野のスリガラス様陰影があり, 動脈血ガスは PO2 34.5Torr, PCO2 29.4Torr と著明な低酸素血症を示していた. 経気管支肺生検では胞隔へのリンパ球浸潤や線維化がみられ, 肉芽腫性肺臓炎の所見を呈した. 症状および胸部X線異常陰影はステロイド剤の投与で軽快した. この間質性肺炎の原因として銅管溶接時に使用した銀ろうに含まれるカドミウムフュームが考えられた. 本論文で自験例を掲示し, 若干の文献的考察を加えて報告した.
  • 澤田 めぐみ, 大玉 信一, 海野 剛, 橘 俊一, 高野 省吾, 三宅 修司, 吉澤 靖之, 青木 延雄, 松原 修
    1994 年 32 巻 9 号 p. 867-872
    発行日: 1994/09/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は67歳女性. 発熱を主訴に当科入院. 縦隔リンパ節腫大を認めたため検索を行ったが確診は得られず, リンパ節は3週間で自然に縮小, 4ヵ月後にはほぼ消失した. しかし初診から9ヵ月後, 再び前回と同部位のリンパ節が腫大. 開胸リンパ節生検の結果, 転移性低分化型腺癌と診断された. 本例は術後, 現在にいたるまで1年11ヵ月にわたり経過観察されているが, 依然原発巣は不明である. 縦隔リンパ節転移で発見された原発不明癌の例はまれである. また本例では経過中リンパ節の自然消退をきたした点が興味深い. 最大に腫大した前気管リンパ節は, 腫瘍細胞の他に多数の腫瘍浸潤リンパ球で占められており, 周辺リンパ節にはサルコイド反応を認めた. これらの所見は宿主の抗腫瘍免疫反応とする報告もあることから, 悪性腫瘍が自然退縮した可能性が推測され, これは, 癌の進展と腫瘍免疫の機序を検討する上で示唆に富むと考えられたためここに報告した.
  • 田中 康子, 武藤 始, 秋山 法久, 荒井 康男, 宮本 康文, 佐野 靖之
    1994 年 32 巻 9 号 p. 873-877
    発行日: 1994/09/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は68歳女性, 気管支喘息のため治療中. 既往歴に薬剤アレルギーがある. 両下肢の疼痛, 腫脹, しびれ感を主訴に当院受診. 末梢血好酸球が53.5%と上昇しており, アレルギー性肉芽腫性血管炎と診断し入院, PSL 30mg/日投与を開始した. PSL投与翌日の皮膚生検像で壊死性血管炎と好酸球の extravasation, 蛍光抗体法でIgGが小血管壁に沈着していた. PSL約30mg/日投与1ヵ月目の筋生検で type IIb の筋線維萎縮, 神経生検では神経線維の粘液変性を認めた. 本症例の eosinophilia はPSL投与ですぐに軽快したが, 皮膚, 筋, 神経への壊死性の障害は非常に強く, 歩行障害が後遺症として残り装具を必要とした.
  • 出崎 真志, 宮地 純樹, 鈴木 勝, 中野 純一, 久富 龍夫, 小須田 達夫, 岡 輝明
    1994 年 32 巻 9 号 p. 878-882
    発行日: 1994/09/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は45歳の男性で, 胸部異常陰影の精査目的で入院した. 胸部X線ではび漫性の浸潤影を認め, 血清アンジオテンシン変換酵素 (ACE) 活性の上昇を認めた. 当初はサルコイドーシスを疑い経気管支肺生検と気管支肺胞洗浄を施行したが確定診断は得られなかった. このため開胸肺生検を施行し肺胞蛋白症と診断された. 胸部異常陰影は無治療で縮小したが, 2年後に血清ACE活性の上昇と共に, び漫性の浸潤影の増大を認めた. 本例では肺胞蛋白症の増悪と血清ACE活性の関連性が示唆された. 肺胞蛋白症での肺胞マクロファージの機能不全と血清ACE活性につき, 若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 新たなアスピリン気道過敏反応の1病型
    妹川 史朗, 佐藤 篤彦, 谷口 正実, 豊嶋 幹生, 中澤 浩二, 早川 啓史, 千田 金吾
    1994 年 32 巻 9 号 p. 883-887
    発行日: 1994/09/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は54歳, 女性. 52歳発症の嗅覚低下を伴う通年性の喘息. ダニのスクラッチテストとIgE (RAST) が陽性のアトピー型で, ダニ抗原2×10-5mg/mlの吸入負荷にて二相性の喘息反応を認めた. アセチルコリン吸入閾値は5,000μg/mlで, クエン酸咳閾値は0.09%と亢進していた. アスピリンDLリジン静注負荷試験にて, アスピリン換算25mg静注15分後より発汗, 顔面紅潮とともに激しい咳嗽を認めたが, FEV1は不変で喘鳴も認めなかった. これらの症状は約15分間持続し, 無治療にて消失した. 他にケトプロフェン50mg筋注, スルピリン250mg筋注, アセトアミノフェン500mg経口投与で同様の症状が出現した. またアスピリンDLリジン連続投与で完全耐性を生じた. 各種非ステロイド系抗炎症剤投与でも同様の症状が誘発され, 減感作により耐性が誘導される等, アスピリン喘息 (AIA) との類似性も認められたことから, 病態的にはAIAと同様にアラキドン酸代謝系異常の関与が推定された.
  • 心筋梗塞による2死亡例を含む4自験例の検討
    橋本 圭司, 浜本 康平, 谷口 隆司, 公文 正仁, 大迫 努, 金 榮治
    1994 年 32 巻 9 号 p. 888-893
    発行日: 1994/09/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    Wegener 肉芽腫症は早期診断と初期のステロイド・免疫抑制剤併用療法の導入によりかなり予後が改善されてきた. しかし我々はこの14年間に通常型 (全身型) 3例, 限局型1例の合計4例を経験したが, 通常型3例は, 2例を心筋梗塞で, 1例を腎不全, 呼吸不全で失い, 限局型の1例のみ長期生存中である. 本症が全身性疾患であることを念頭においた早期診断の必要性を痛感させられた.
  • 渡辺 好明, 田中 斉, 小川 雅弘, 田中 稔彦, 谷沢 誠
    1994 年 32 巻 9 号 p. 894-898
    発行日: 1994/09/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は48歳, 男性. 上腹部痛, 頸部腫瘤のため入院. 胸部X線写真, CT, MRIで左S10の腫瘍, 肺門, 縦隔リンパ節腫大を認め, 気管支鏡下生検にて小細胞癌と診断. 腹部超音波で多発する肝転移を認めた. Carboplatin, Ifosfamide, Etoposide による化学療法を施行, 2クール終了時PRと判定され持続. 4クール終了直後より肝障害が出現, 約2週間後肝性脳症となり, 血漿交換など施行するも3日後死亡. 入院時陰性のHBs抗原, HBe抗原の陽性化を認めB型劇症肝炎と診断. 悪性腫瘍化学療法中の劇症肝炎の発症は本邦において約20例の報告があるが, 血液造血器疾患症例のみで, 肺癌での報告はない. 肺癌化学療法においても, 支持療法の進歩により Dose-Up が可能となり, 免疫能に及ぼす影響の増大などから肝炎の劇症化が増加してくる可能性が考えられる.
  • 片倉 浩理, 田村 康一, 杉田 孝和, 堀川 禎夫, 鈴木 雄二郎, 西山 秀樹, 前川 暢夫
    1994 年 32 巻 9 号 p. 899-901
    発行日: 1994/09/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    今回我々は両側に発症した肺アスペルギローマに対し呼吸機能の低下を招くことなく2期的に外科治療を行ったので報告する. 症例は60歳, 男性. 主訴は咳嗽, 喀痰. 昭和61年より糖尿病で経過観察されていたが, 平成4年8月頃より発熱が時々出現し, 胸部正面写真にて両側に異常陰影を指摘され, 胸部CTでは, 両側上肺野に浸潤影を下肺背側に嚢胞が認められた. 喀痰検査ではアスペルギルスは証明されなかったが, 血清学的に肺アスペルギローマと診断した. 内科的治療を約2ヵ月間行ったが効果が得られず, 外科治療として肺嚢胞切開, 有茎筋肉充填及び肺縫縮術を施行した. 術後一時期に肺瘻を認めた以外には合併症無く, 良好な経過が得られ退院となった.
  • 吉川 隆志, 小笠 寿之, 山本 真, 稲葉 秀一, 寺井 継男
    1994 年 32 巻 9 号 p. 902-907
    発行日: 1994/09/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    農夫肺症と診断後12年にわたる経過中徐々に肺の線維化が進行し, その後自然気胸が生じた症例を経験したので報告する. 症例は56歳, 女性. 1979年頃より徐々に咳嗽が出現し, 1981年農夫肺症と診断された. 入院加療により胸部X線写真上, 両下肺野はごくわずかの粒状影を残すのみで著明に改善した. その後も時に牛舎内で作業し, その際咳嗽がひどくなり, 3回当科に再入院した. 1993年4月, 咳嗽後突然胸痛と呼吸困難が出現し, 当科に入院した. 入院時の胸部X線写真で右肺の気胸と診断された. 気胸改善後の胸部X線写真では, 両側肺の著しい線維化と肺野の縮小を認めた.
  • 大河内 稔, 高際 淳, 市岡 正彦, 丸茂 文昭
    1994 年 32 巻 9 号 p. 908-912
    発行日: 1994/09/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は36歳男性. 健康診断時の胸部X線写真にて右気管気管支角部の異常影を指摘されて来院した. 自覚症状は認めなかった. 精査の結果, 下大静脈欠損症にともなう奇静脈拡張像と診断した. また, 気管支分岐において, 右上葉支は中葉支より分岐し, 右B7がなく, 左に心臓支が存在する分岐異常が認められた. 心臓, 腸管, 脾臓の異常は認められなかった. 下大静脈欠損症はまれな疾患であるが, 心血管奇形等の他の内臓奇形を伴うことにより発見されることが多い. 気管支分岐異常との合併の報告はきわめてまれだが, その成因を考える上で示唆に富む症例と考えられた.
  • 北 倫子, 岩田 政敏, 井田 雅章, 堀口 倫博, 藤本 欣也, 佐藤 篤彦
    1994 年 32 巻 9 号 p. 913-917
    発行日: 1994/09/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は23歳男性. 乾性咳嗽を主訴に当科を受診した. 胸部X線写真で両側肺門リンパ節腫脹と浸潤影, 右胸水が認められ, 心電図で完全房室ブロック・洞停止所見がみられた. 肺生検・胸膜生検より類上皮細胞肉芽腫が認められ, サルコイドーシスと診断し, ペースメーカー植え込みとステロイド投与を行った. ステロイド投与によりタリウム心筋シンチの取込み上昇と胸水の消失が認められた.
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