日本胸部疾患学会雑誌
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肺腫瘤影のディジタル解析
腫瘤影の良悪性鑑別におけるコンピュータ支援診断の可能性
笹岡 彰一高畠 博嗣森 雅樹名取 博阿部 庄作
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1995 年 33 巻 5 号 p. 489-496

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抄録
胸部単純X線写真による肺腫瘤影の良悪情鑑別のための客観的指標を得るために, 腫瘤影のX線学的特徴およびX線写真をディジタル処理して得られる17パラメータについて検討した. 腫瘤影のX線学的特徴のうち形状, 濃度, スピキュラ, 辺縁鮮明度および血管収束像の各所見の出現頻度は良悪性間に有意差を認めた. ディジタル・パラメータは同心円ウィンドウを用いて得られ, 腫瘤内部の処理では濃度勾配値, 腫瘤影検出用フィルタ出力値, 濃度差エントロピー値が, 腫瘤辺縁の処理では濃度勾配値 (2種) が, 腫瘤周囲の処理では濃度差エントロピー値が良悪性間で有意差を認めた. 辺縁での濃度勾配値は形状とスピキュラを反映していると考えられた. これら6種のパラメータ値を用いた良悪性の判別分析は, 良性例を良性とする判別率70.0%, 悪性例を悪性とする判別率85.0%であった. これらのディジタル・パラメータは定量的な良悪性鑑別に有用であることを示した.
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© 日本呼吸器学会
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