日本胸部疾患学会雑誌
Online ISSN : 1883-471X
Print ISSN : 0301-1542
ISSN-L : 0301-1542
Pryce I型肺分画症の手術経験
湯浅 幸吉清水 健小林 有希南部 静洋大谷 信夫
著者情報
キーワード: 肺分画症, Pryce I型
ジャーナル フリー

1996 年 34 巻 1 号 p. 111-116

詳細
抄録
Pryce I型肺分画症の1例を報告する. 症例は53歳女性で, 血痰を認めて来院し胸部異常陰影を指摘された. CT, MRI で異常血管を認め, 大動脈造影で胸部大動脈より左肺底区を還流する異常動脈を認めた. 肺動脈造影では左肺底区の肺動脈を欠如し, Pryce I型肺分画症と診断した. 手術では径13mmの異常動脈が下行大動脈から分岐し蛇行しながら左下葉へ流入していた. これを処理し, 左下葉切除を行い, 経過良好であった. Pryce I型肺分画症は比較的まれで, 本邦報告例は24例であった. 若年者, 男性の報告が多く, 女性の手術症例としては自験例が最高齢であった. また, 自験例の異常動脈径13mmは手術された報告症例のうち最大径18mmに次ぐものであった.
著者関連情報
© 日本呼吸器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top