日本胸部疾患学会雑誌
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慢性閉塞性肺疾患を有する肺癌患者の手術後の肺機能の予測について
菊地 和博石井 芳樹北村 諭
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1996 年 34 巻 10 号 p. 1071-1076

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抄録

1985年1月から1994年12月までに当科に入院した肺癌手術症例のうち, 手術前後の肺機能データが得られた62症例の手術後の肺機能を, 術前肺機能から術前後の非閉塞亜区域気管支数を用いて予測し実測値との相関を検討した. 術後から肺機能検査施行までの期間では手術後4週以降の症例が, 閉塞性肺機能障害の有無では1秒率70%以上の症例が, 肺活量と1秒量とともにr>0.85の良好な相関を示した. 肺気腫による閉塞性肺機能障害を有する症例の中には予測値より30%以上良好な実測値を得た症例を認めた. 肺気腫を有する肺癌患者は気腫性変化の分布と程度によっては, 肺葉切除により volume reduction therapy としての効果も加味され予測値より良好な実測値が得られる可能性が示唆された.

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