日本胸部疾患学会雑誌
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ヒト肺小細胞癌培養細胞における接着因子の発現の検討
吉田 浩幸小林 俊介岡田 信一郎羽隅 透佐藤 伸之鈴木 聡斉藤 泰紀藤村 重文
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1996 年 34 巻 10 号 p. 1077-1083

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抄録

肺小細胞癌のリンパ節転移における細胞間接着因子の意義を知るため, 原発巣とリンパ節転移巣とから株化樹立されたヒト肺小細胞癌細胞株を対象とし, フローサイトメーターを用いてE-カドヘリン, CEA, NCAMの発現について比較検討した. E-カドヘリンは, 原発巣からの5株では全株に発現を認めたのに対し, リンパ節転移巣からの5株では全株とも陰性であった. CEAは, 原発巣からの5株全株に発現を認めたのに対し, リンパ節転移巣からの5株では1株のみに発現を認めただけであった. NCAMは, 両群共5株中4株が陽性で明らかな差異を認めなかった. また, E-カドヘリンの発現量とCEAの発現量には正の相関が認められた. E-カドヘリンとCEAは共に上皮細胞間結合に関与することから, 肺小細胞癌のリンパ節転移は上皮性の細胞間接着因子の低下が重要である可能性が示唆された.

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