エリスロマイシン (以下EM) のラット肺胞II型細胞のサーファクタント代謝 (合成・分泌・再利用) に及ぼす効果を検討した. II型細胞をラット肺より分離しサーファクタント前駆物質である3H-コリンを添加した. 合成能として22時間後に合成された3H-リン脂質量とスークロース濃度勾配法により lamellar body への取り込みを, 分泌能として3H-リン脂質の上清中への放出率 (%secretion, 3時間) を, 再利用能として3H標識合成リポゾームの細胞内への取り込み率 (%uptake, 1時間) を指標とした. EM (5~50μg/ml) をII型細胞と22時間前処置した場合, PMAやATP刺激による分泌は濃度依存性に抑制された. 合成能と再利用能には影響を与えなかった. 以上よりEMはII型細胞のサーファクタント分泌を抑制することが示され, 肺胞蛋白症などサーファクタント過剰状態に対する治療的有用性が示唆された.