日本胸部疾患学会雑誌
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血清ECP値と骨髄像が病勢を反映した慢性好酸球性肺炎の1例
中村 豊星野 誠宮坂 隆清水 邦彦山城 義広沈 在俊保坂 公夫内田 耕福島 保喜赤坂 喜清
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1996 年 34 巻 10 号 p. 1115-1120

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抄録

症例は64歳の女性. 乾性咳嗽を主訴として近医受診. 感冒ると診断され投薬を受けるも症状改善せず当院来院. 胸部X線写真にて小斑状陰影を認め, BALFで好酸球の増加, TBLBで肺胞腔への好酸球浸潤を認め慢性好酸球性肺炎と診断した. 骨髄穿刺を施行し骨髄像を検討したところ成熟好酸球の増加が主体であった. 血清ECP値は高値を示し, アストグラフ法により気道過敏性の亢進が認められた. プレドニゾロン30mg/dayの投与により臨床症状, 画像上改善がみられ, 同時に骨髄像, ECP値も正常化した. 気道過敏性は, 改善はしたが依然存在した. 血清ECP値と気道過敏性が慢性好酸球性肺炎の病勢を反映し, ステロイド剤の投与によって骨髄レベルでの好酸球の産生が抑制されたことを観察し得た1例を報告した.

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