日本胸部疾患学会雑誌
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一酸化窒素による気道上皮細胞シクロオキシゲナーゼ活性の制御
竹村 尚志玉置 淳千代谷 厚近藤 光子金野 公郎
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1996 年 34 巻 6 号 p. 632-638

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抄録

一酸化窒素 (NO) による気道上皮シクロオキシゲナーゼ (COX) 活性の制御機構を明らかにする目的で, 培養イヌ気管上皮細胞からのプロスタブランディンE2 (PGE2) の産生を検討した. イヌ気管上皮細胞からは無刺激の条件下でPGE2が産生されており, その産生はNG-monomethyl-L-arginine (L-NMMA) で抑制された. また, ブラジキニン刺激によるPGE2産生増加もL-NMMA, NG-nitro-L-arginine methylester (L-NAME) で抑制され, その抑制効果はL-アルギニン存在下で消失した. またクロルプロマジンでも同様に抑制されたが, アミノグアニジンは無効であったことから constitutive NO 合成酵素の関与が示唆された. NO供与体もPGE2産生を増加させ, その効果はへモグロビンで抑制されたがメチレンブルーによる影響は受けなかった. 培養上皮細胞の組織化学では NADPH diaphorase 活性が認められた. 以上より, 気管上皮細胞においてNOが直接COXに作用し, PGE2産生を制御しているものと考えられた.

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