日本胸部疾患学会雑誌
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観察用及び生検用気管支内視鏡同時挿入による胸腔鏡検査-原因不明胸水50例の検討-
瀬戸 貴司千場 博深井 祐治瀬戸 眞由美稲吉 厚蔵野 良一
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1996 年 34 巻 9 号 p. 947-952

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抄録

原因不明胸水に対して観察用と生検用のフレキシブル気管支内視鏡を同時に2本挿入し胸腔鏡検査を施行した. その方法を紹介するとともに臨床的な意義を検討した. 対象: 原因不明胸水 (滲出性, リンパ球優位, 胸水ADA低値, 胸水細胞診にて悪性細胞陰性, 胸水塗沫結核菌及び一般細菌検査陰性例) 50例. 外来検査症例は14例であった. 方法: 局所麻酔下に胸腔内に300から500mlの純酸素を挿気, 人工気胸状態とした. 観察用及び生検用フレキシブル気管支鏡を同時に挿入し検査を施行, 検査後約1時間の脱気にて帰宅も可能であった. 結果: 原因不明胸水50例中, 42例に胸腔内病変が認められ, 組織学的診断が46例に可能であった. 考察: 呼吸器内科医にとって最も慣れている器具を用いて, 容易な操作で合併症なしに, 有効な診断が得られると考えられた.

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