日本胸部疾患学会雑誌
Online ISSN : 1883-471X
Print ISSN : 0301-1542
ISSN-L : 0301-1542
血清可溶性インターロイキン2受容体値が病勢と一致して変動した農夫肺の1例
福澤 純赤石 直之田中 秀一笹川 憲牧田 圭弘羽根田 俊藤内 智菊池 健次郎
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 34 巻 9 号 p. 978-982

詳細
抄録

発熱, 咳および呼吸困難を訴えた54歳の女性が農夫肺を疑われ入院した. 16年前から酪農業に従事し, 毎年4月に同様の症状があった. 入院時に胸部に fine crackle を聴取し, 低酸素血症, 肺機能検査上拘束性障害や拡散能の低下, Gaシンチグラム上肺野の異常集積および胸部レントゲン写真上びまん性小粒状影等を認めた. 気管支肺胞洗浄液ではリンパ球の増加を, リンパ球サブセットはCD4/CD8比が高値を, 経気管支肺生検では過敏性肺炎の像を認めた. 患者血清から抗 Micropolyspora faeni 抗体が検出され農夫肺と診断した. 入院後, 無治療で自覚症状と上記所見は改善した. 入院時に1,123と高値を呈していた血清可溶性インターロイキン2受容体値 (基準値190~650) は病勢が軽快するに伴い663, 298 (各U/ml) と減少した. 同検査はT細胞が関与する疾患で病勢を反映する事が知られている. 農夫肺においても同様の意義があると考えられた.

著者関連情報
© 日本呼吸器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top