日本胸部疾患学会雑誌
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酸素療法または人工呼吸を必要とした市中肺炎の検討-重症度の評価について-
田辺 潤谷口 真肥後 敦子藤田 和恵大場 秀夫米山 浩英矢野 達俊木村 丹沖本 二郎松島 敏春
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1997 年 35 巻 8 号 p. 854-862

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抄録

市中肺炎 (CAP) 症例の臨床像を軽症群, 中等症群, 重症群の3群に分類し検討した. 1. 軽症群 (n=56): 抗菌薬のみで治癒したもの. 2. 中等症群 (n=34): 抗菌薬に加え酸素療法も必要としたが治癒したもの. 3. 重症群 (n=31): 人工呼吸を必要としたもの. その結果, 中等症以上のCAPの臨床的特徴として, 年齢は65歳以上の高齢者, 呼吸器または中枢神経疾患を基礎疾患として有すること, 症状では呼吸困難を訴えることバイタルサインの異常として脈拍数90/分以上の頻脈, 呼吸回数25回/分以上の頻呼吸を認めること, 血液検査ではAlb 3.5g/dl以下の低Alb血症, BUN 20mg/dl以上の高尿素窒素血症を認めること, room air 下の動脈血ガス分析でPaO2 60mmHg以下, SaO2 90%以下の低酸素血症を認めること, 胸部X線でより広い浸潤影を認めることであった. これらを認めた場合には重症の可能性を考え治療を開始する必要があると思われた.

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