1997 年 35 巻 8 号 p. 863-866
日本胸部疾患学会員の喫煙に関する意識を知るために, 1996年4月に開催された第36回日本胸部疾患学会総会で学会参加者3,725人を対象としてアンケート調査を行った. その結果, 回収数は2,411枚で回収率は64.7%であった. 習慣的喫煙歴は46.2%にみられ, 現在の喫煙率は22.7%で, 回答者の施設が全面禁煙であるものは7.5%にとどまった. 病院内での医師の分煙は40.5%と低率であるのに対して患者の分煙は78.9%で行われていた. また病院内でのタバコの販売は回答者の50.3%の施設で自動販売機によって, 55.2%の施設で売店によって行われていた. しかし78.5%の回答者が病院が無煙環境となることを希望し, 78.3%の回答者が医師として患者の喫煙行動に何らかの影響を及ぼすべきであると考えていた. 禁煙指導の意義を考える際に医師自身あるいは医療機関全体としての喫煙に関する姿勢を検討し, 日本胸部疾患学会員としての立場を再検討する必要がある.