日本胸部疾患学会雑誌
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人工呼吸器からの離脱にBiPAP®が有効であったCOPD急性増悪の1例
酒井 哲夫島田 政則石崎 武志中井 継彦
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1997 年 35 巻 8 号 p. 894-899

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抄録

症例は65歳男性. COPD急性増悪の再発にて人工呼吸管理となり, そのウィーニングに経鼻式ベンチレーター, BiPAP®を使用した1例を報告する. 安定期はH-Jの5度, 経鼻カニューラ酸素2L/min必要とし, 高炭酸ガス血症の程度はPaCO2 70Torr台であった. 右上肺野に軽度の浸潤影を認め, CO2ナルコーシスにて人工呼吸管理となる. Tピースによるウィーニングが困難で, 第6病日目に抜管し, BiPAP®による補助換気 (CPAP+PS) を行った. 抜管前後で呼吸困難なく, PaCO2は変化なかったことから, BiPAP®は呼吸努力の減負荷に役立ったと思われた. また, 気管切開術を回避することができた. 高炭酸ガス血症を伴うCOPD患者の人工呼吸器から離脱における非侵襲的陽圧換気補助の有用性を示唆する症例と思われた.

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