2025 年 81 巻 2 号 論文ID: 25-1466
【目的】MRI検査において,メイクアップ化粧品は静磁場による吸引やアーチファクトを引きおこす可能性があるが,化粧品原料成分ごとの詳細な報告はない.本研究では,化粧品に含まれる成分ごとの吸引力,画像アーチファクトを評価し,検査前に除去する必要がある化粧品成分を明らかにすることを目的とした.【方法】化粧品の成分を調査し,各成分について吸引力を偏向角測定法により測定した.画像への影響は,試料を塗布したファントムをスピンエコー法,グラディエントエコー法で撮像し,画像の信号欠損面積を比較した.【結果】黒酸化鉄のみ吸引され,ガントリへの吸着の危険性が示唆された.画像の信号欠損面積は,単一成分では黒酸化鉄が最大であった.化粧品ではアイライナーとアイシャドウで画像の信号欠損が確認でき,黒酸化鉄の含有割合が高い可能性が示唆された.【結語】黒酸化鉄の含有量が多い可能性のあるアイメイクなどのメイクアップ化粧品は,MRI検査前に除去することが望ましい.