論文ID: 2023-1235
【目的】123I-metaiodobenzylguanidine(MIBG)を用いた神経変性疾患の鑑別において,心筋のstandardized uptake value(SUV)を算出する方法を考案し,その精度について報告する.【方法】MIBGの正常集積を模した心臓肝臓ファントムのsingle photon emission computed tomography-computed tomography(SPECT-CT)画像から心筋部分の17セグメントpolar mapを作成し,定量値の再現性や正確性等に優れた至適画像再構成条件を決定した.その条件における心筋SUVのリカバリー係数および再現性を従来のH/M比と比較した.また,8例の健常例から心筋SUVを算出しH/M比と比較した.【結果】Ordered subset expectation maximization(OSEM)法のsubsetが10, iterationが10, Gaussian filterのfull width at half maximum(FWHM)が4 pixelsのときの画像再構成条件を至適画像再構成条件とした.Maximum SUVmax(MaxSUVmax),Average SUVmax(AveSUVmax),H/M比のリカバリー係数はそれぞれ36.5%, 33.6%, 15.0%となり,再現性はそれぞれ4.99%, 4.84%, 1.50%となった.臨床例におけるMaxSUVmaxは平均で8.27, AveSUVmaxは平均で7.58であった.【結語】心筋SUVはH/M比に比して理論値にわずかに近い定量値が得られることが明らかとなった.至適画像再構成条件を用いることで,精度よく定量評価が可能である.