論文ID: 2024-1398
【目的】膜性中隔(membranous septum: MS)長の心周期,計測方法による変化を経カテーテル的大動脈弁置換術(transcatheter aortic valve replacement: TAVR)の術前computed tomography(CT)画像を用いて検証した.【方法】TAVRを目的として造影CT撮影を実施された連続34症例を対象とした.MS長の計測は,心周期のR–R 10%間隔のデータを三つの計測方法(Coronal, StretchedおよびReformatted coronal view method)を用いて実施し,計測方法間,心位相間でMS長を比較した.【結果】MS長はいずれの心位相においても三つの計測方法によるMS長間に差を認めた.Coronal view methodと他の2方法によるMS長の相関は中程度,Stretched view methodとReformatted coronal view methodには強い相関があった.心周期中でMS長が最小,最大となる頻度が高い心位相は,それぞれR–R 90%とR–R 30%であった.R–R 90%のMS長中央値はR–R 30%のMS長中央値よりもすべての計測方法で小さかった.【結語】TAVRを目的として造影CTを施行する症例でのMS長は,心位相および計測方法によって大きく異なる.MS長を評価する際は,計測方法に留意し,心周期中での最小値評価をする場合は拡張期で計測すべきであろう.