日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡下Nissen手術を行った全胃脱出混合型横隔膜ヘルニアの1例
杉田 諭佐々木 淳白石 憲男北野 正剛
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2007 年 68 巻 10 号 p. 2486-2489

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抄録

食道裂孔ヘルニアは滑脱型・傍食道型・混合型に分類され, 約90%は滑脱型である. 今回, 胃全体が縦隔内に脱出する稀な混合型のヘルニアに対して, 腹腔鏡下に治療したので報告する. 患者は70歳, 女性. 数年前より胸部圧迫感が出現し, 当院受診. 上部消化管造影検査・CT・MRIにて, 胃全体が縦隔内に脱出する食道裂孔ヘルニアを認めた. 制酸剤内服にても症状が持続するため, 腹腔鏡下Nissen手術を施行した. 腹腔内を観察すると, 食道裂孔は著明に開大し, 胃全体・大網・空腸の一部が縦隔内に脱出していた. ヘルニア内容を還納後, 食道裂孔を縫縮し, 胃底部を用いて噴門形成を行った. 術後経過は良好で, 術後17日目に退院となった. 術後の上部消化管造影検査にて, 食道への逆流を認めず, 通過良好であった. 胃全体が縦隔内に脱出するようなヘルニアに対しても, 腹腔鏡下Nissen手術は安全かつ有効な治療手段と考えられる.

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© 2007 日本臨床外科学会
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