日本臨床外科学会雑誌
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症例
全結腸に及ぶ壊死型虚血性大腸炎の1例
吉井 一博原田 佐智夫山本 芳樹佐藤 伸一
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2007 年 68 巻 11 号 p. 2817-2821

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抄録

症例は心筋梗塞の既往がある75歳, 女性. 夕食後, 腹痛が出現し, 本院救急受診, 入院. 翌日, 身体所見および腹部CT検査所見で虚血性腸炎, 汎発性腹膜炎と診断し, 同日緊急手術施行. 開腹所見では盲腸からS状結腸に至る広範な結腸壊死を認め, 結腸亜全摘術 (一期的吻合) を施行. 術後経過は概ね良好だったが, 術後13病日腸閉塞症を併発. これは保存的に改善し, 術後34日目に退院した. しかし, 術後55日目に再び腸閉塞症を発症し, 本院入院. 内視鏡検査で残存結腸の虚血性腸炎による腸閉塞症と診断. 保存的に改善しないため, 狭窄部腸管切除手術を施行. 再手術後15日目に退院となった. 壊死型虚血性大腸炎の中でも全結腸型は非常に稀であり, 致死率も高く, 予後不良な疾患である. 造影腹部CT検査等により早期診断をはかり, 敗血症が進行していない早期に緊急手術を行うことが, 肝要である.

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© 2007 日本臨床外科学会
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