抄録
症例は69歳, 男性. 64歳時に胃癌で胃全摘出術を受けている. 腹部症状の訴えはないが, 胃癌術後の経過観察のため腹部CT検査を施行したところ, 回盲部にmultiple concentric ring signを認めたので腸重積を疑った. 大腸内視鏡検査の結果, 上行結腸癌または回腸癌による回盲部脱出と診断し開腹術を行ったが, 回腸癌を先進部とする腸重積と判明したので回盲部切除術を施行した. 病理組織所見では, リンパ節転移はなく, 深達度ss, 乳頭状腺癌であった.
本症例は下血, 腹痛, 便通異常, イレウス症状等の通過障害を生じたことはなく, 重積, 整復を繰り返していたものと思われた. 術後4カ年無再発生存中である.
回腸癌による腸重積症は稀な疾患であるが, さらに本症例は病理組織検査により胃癌と回腸癌による重複癌と診断され, 極めて稀な疾患であり報告する.