抄録
症例は33歳, 男性. 下腹部痛・下血を主訴に当院消化器科に入院. 約3カ月間にわたって様々な内科的治療を行うも改善せず, さらに直腸からS状結腸にかけての高度の狭窄を認めイレウス症状も呈してきたため, 難治性潰瘍性大腸炎の診断で手術を行った. 病理学的には固有筋層の不規則な肥厚が狭窄の原因であったが, その起因に関しては詳細不明であった. 潰瘍性大腸炎は主として粘膜および粘膜下層に炎症の主座を有するため, 良性狭窄や閉塞をきたすことは稀で, 本邦では10数例の報告をみる程度である. 本症における外科的手術の適応は, 絶対的適応と相対的適応に分類される. 前者は出血・穿孔・中毒性巨大結腸症などに対して救命を目的とした緊急手術が行われる場合が多いが, 後者では待機手術が行われ, 根治性を保ちつつできるだけQOLを損なわない術式が選択される. 自験例のように難治性の場合, 腹腔鏡補助下大腸全摘・回腸-肛門吻合術の良い適応と考えられた.