2007 年 68 巻 3 号 p. 632-634
日本住血吸虫卵が併存した直腸S状部癌症例を経験したので報告する. 症例は69歳, 男性. 血便を主訴に当院を受診した. 大腸内視鏡検査で直腸S状部に全周性2型病変を認め, 腹腔鏡補助下高位前方切除術を施行した. 病理所見はtub1, SS, med, INFb, ly1, v2, N1, PM0, DM0, RM0であった. また, 切除腸管壁に多数の日本住血吸虫卵を認めた.
患者は日本住血吸虫の国内流行地の1つ静岡県沼津地区在住であった. 国内での流行は20年以上前に終息しており, 本症例も陳旧性病変と考えられた.