2007 年 68 巻 3 号 p. 628-631
19歳, 女性. 家族性大腸腺腫症 (FAP) 症例に対し腹腔鏡を併用しビキニラインアプローチ法による小開腹下一期的大腸全摘, 回腸嚢肛門吻合術 (Bikini-line incision ileal-pouch anal anastomosis : BIAA) を施行した. 恥骨上約2横指上に約10cmの皮膚切開をおき皮下組織を剥離. 正中で筋膜, 腹膜を小切開し開腹した. 右側結腸より直視下に間膜の血管処理, 腸管授動を行ったが肝彎曲部, 脾彎曲部が高位で視野が不良であり創部より腹腔鏡を挿入することにより創を延長, 追加することなく良好な視野を確保し手術操作が可能であった. 手術時間262分, 出血量60mlで術後2日目に経口摂取開始, 11日目軽快退院した. BIAAは美容的にも秀れ, 特に若年女性には有用な手技であるが, 腹腔鏡の併用は肝彎曲, 脾彎曲が高位な難易度の高い症例においてより安全かつ容易なBIAAの施行に有用と思われた.