日本臨床外科学会雑誌
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症例
横行結腸間膜ヘルニアの1例
竹内 聖柏木 裕貴近藤 昭宏岡田 節雄
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2007 年 68 巻 3 号 p. 692-696

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抄録

内ヘルニアの中でも非常に稀な横行結腸間膜ヘルニアの1例を経験した. 症例は69歳, 女性. 2年前に腹痛で入院し, 盲嚢ヘルニアと診断されたが保存的に軽快した. 今回も同様の腹痛と嘔吐で入院し, 腹部CT検査で胃の背側に拡張して一塊となった空腸を認め盲嚢ヘルニアの再発と診断した. 保存的治療で症状は改善したがヘルニアは解除せず, 入院後第31病日に手術を施行した. Treitz靱帯の右側に空腸間膜と横行結腸間膜の線維性癒着による直径3cmのヘルニア門を認め, 空腸が50cmにわたり胃の背側から小網に向かって嵌入していた. 横行結腸間膜に欠損は認めず, 嵌頓小腸を整復後にヘルニア嚢の縫縮とヘルニア門の閉鎖を行った. 横行結腸間膜に発生するヘルニアは術前診断が困難で重症化することもあるため, 腹部の不定愁訴, 腹痛の繰り返しなどの症状がある場合は軽症例でも本疾患を念頭に置き治療を決定すべきである.

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© 2007 日本臨床外科学会
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