抄録
当科で過去11年間に経験した急性上腸間膜動脈閉塞症10例を, 生存群4例・死亡群6例に分け, 診断・治療・術後管理について検討した. 平均年齢81歳と高齢で, 基礎疾患として全例に何らかの心血管系疾患を認め, うち7例が心房細動を有していた. 発症から治療までの時間は4時間から96時間の幅であったが, 2群間に有意な差は認めなかった. 全例で術前に造影CT検査が施行され, レトロスペクティブには上腸間膜動脈中枢で閉塞をきたした8例全例において, 術前診断が可能であったと考えられた. バルーンカテーテルを用いたIVRで治療しえた1例を除いて, 9例に開腹手術が施行され, 6例に大量腸管切除が施行された. 7例は術後急性期を乗り越えたが, 最終的に社会復帰できたのは4例であった. 本疾患の予後改善のためには, 早期診断による大量腸管切除の防止だけでなく, 基礎疾患・再発予防のための治療や栄養管理を含めた術後長期間にわたる集学的な治療が必要であると考えられた.