抄録
肺腫瘤に対する治療方針の決定に際してはその質的診断が重要になる. 特に悪性腫瘍の術前検査時や切除後に孤立性の肺腫瘤が発見された場合は原発性肺癌, 転移性肺腫瘍, 良性肺腫瘤の鑑別が必須であり, 鑑別診断のためには第一に発生頻度を把握しておく必要がある. 2000年1月から2003年6月までに当院で悪性腫瘍の術前検査あるいは術後の経過観察中に発見され切除された孤立性肺腫瘤症例56例 (男性38例, 女性18例, 平均65.3歳) を検討した. 初回悪性腫瘍の手術から肺切除までの平均観察期間は33.5カ月で, 初回悪性腫瘍は大腸癌19例 (33.9%), 胃癌18例 (32.1%), 乳癌7例 (12.5%), その他12例であり, 結果は原発性肺癌30例 (53.6%), 転移性肺腫瘍15例 (26.8%), 良性肺腫瘤11例 (19.6%) であった. 悪性腫瘍の術後といえども原発性肺癌の発生に留意する必要があると考えられた.