抄録
胃・食道逆流症の増加に伴い, Barrett食道, および腺癌の増加が予想される. 今回われわれは食道腺癌より初発遠隔転移として脳転移をきたした稀な2症例を経験した. 症例1は47歳, 男性. 胸部下部食道にIIa+IIc型のBarrett食道癌を認めた. 左開胸開腹中下部食道切除, 腹部および中下縦隔リンパ節郭清術を施行した. 術後1年4カ月目に小脳転移をきたし, 開頭腫瘍摘出術を施行したが, 原病死した. 症例2は62歳, 男性. 胸部食道に8cm長の2型腫瘍を認め, 生検にて中分化型腺癌と診断された. 手術予定としていたが, 入院後に右手の違和感を訴えたため, 頭部CTを施行. 左後頭葉に脳転移巣を認めたため, 手術は行わずγナイフ療法を施行し, 全身化学療法を併用した. 初診より1年6カ月後に死亡した. 食道腺癌は扁平上皮癌に比較して脳転移をきたしやすい可能性もあり, 治療を行うにあたり脳転移も念頭に入れる必要がある.