抄録
症例は56歳, 男性. 2006年2月下旬イワシの刺身を食べた翌日より腹満, 強度の腹痛を自覚しその翌日に当院を紹介, 入院となった. 腹部CTで中等量の腹水と小腸の拡張, その末端での小腸壁の肥厚を認めた. 小腸アニサキス症を強く疑うも内ヘルニア他による絞扼性腸閉塞を完全に否定できず, 緊急手術を施行した. 腹腔鏡下に腹腔内を観察すると, 濁った腹水が中等量あり, Treitz靱帯より約60cmにわたって空腸は拡張し, その肛側で約30cmにわたり小腸の発赤, 浮腫を認めた. 腸管表面に白苔や虚血はなく, そのさらに肛側の小腸は虚脱し異常を認めなかった. 絞扼性腸閉塞を否定し腹腔内の洗浄, ドレナージを施行し, その後腹痛は劇的に改善した. 入院時に測定した抗アニサキスIgG+IgA抗体は陰性であったが, 発症約1カ月後に測定した抗アニサキスIgG+IgA抗体は陽性となり, 最終的に小腸アニサキス症と診断した.