抄録
症例は50歳, 男性. 約25年間自宅に引きこもり状態にあり. アルコールを多飲して腹痛を繰り返し自覚していた. 2005年5月, 急激に上腹部痛が増強し, 当科に緊急入院した. 入院時, 38.1℃の発熱と上腹部を中心に圧痛, 筋性防御を認めた. 腹部CT検査では膵尾部, 横行結腸と一塊となった約60mm大の嚢胞内に出血を疑う膵嚢胞を認めた. 以上より, 膵嚢胞破裂による腹膜炎と診断し, 同日, 膵体尾部・脾合併切除および拡大右半結腸切除を施行した. 非手術的インターベンションの技術が発達した現在, 自然消退しない膵仮性嚢胞はUS/CTガイド下の経皮的ドレナージなど非観血的治療が有効で, 緊急手術に至る症例は稀である. しかし, 自験例のように嚢胞内出血やその破裂で急激な腹膜炎症状がみられる場合, 外科的治療を含め治療方針を迅速に決定する必要がある.