日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔内出血を契機に発症しGISTと鑑別された胃平滑筋肉腫の1例
武田 佳久安田 誠一寺村 康史橋田 修平
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2007 年 68 巻 7 号 p. 1699-1703

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抄録

症例は79歳の男性で, 心窩部痛を主訴に来院. 著明な貧血と腹部超音波検査にて腹水を認めたため腹腔内出血を疑った. 腹部CT, 血管造影検査により胃壁腫瘍や膵腫瘍からの出血を疑い, 緊急手術を施行した. 多量の血性腹水と胃角部より突出する3cm大の出血性腫瘤を認め, 胃局所切除術を施行した. 摘出された腫瘍は, 3.3×3.0cmで内腔に凝血塊を認めた. 腫瘍の組織診断では, gastrointestinal stromal tumor (以下GIST) などの間葉系腫瘍が疑われ, 確定診断のため免疫組織診断を行った. KIT, CD34, S-100蛋白陰性, α-smooth muscle actin陽性, MIB 1 labeling index高値により胃平滑筋肉腫と診断された. 今回の腹腔内出血により発見された胃平滑筋肉腫は, 検索した範囲内でGISTと鑑別された稀な症例と考えられた.

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© 2007 日本臨床外科学会
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