日本臨床外科学会雑誌
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症例
胃原発脂肪肉腫の1例
松山 隆生長谷川 誠司深野 雅彦簾田 康一郎江口 和哉仲野 明
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2007 年 68 巻 7 号 p. 1695-1698

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抄録

症例は53歳, 男性. 腹部膨満感を主訴に受診し, 精査加療目的で入院となった. 腹部CTでは胃体部後壁に13cm大の腫瘤影を認めた. 上部消化管造影と胃内視鏡検査では, 胃粘膜の不整は認めず, 胃体部後壁に腫瘤からの圧排所見を認めた. 腹部の血管造影では左胃動脈からの腫瘍濃染像を認めた. 入院後も腫瘤は増大傾向を示した. 胃の間葉系腫瘍の診断で開腹手術を施行した. 術中所見では, 腫瘍は胃体部後壁から発生した壁外性腫瘍であった. 周辺臓器への浸潤は認めなかった. 腫瘍を含め胃を局所切除し摘出した. 組織学的に胃原発の硬化型脂肪肉腫と診断された. 術後腹膜播種再発をきたし3度の再発巣切除術を行ったが, 初回手術から80カ月の現在も健在である. 胃原発の脂肪肉腫は極めて稀な疾患であり, 若干の文献的考察を加えて報告する.

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© 2007 日本臨床外科学会
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