日本臨床外科学会雑誌
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症例
総肝動脈神経叢に発生した後腹膜神経鞘腫の1例
須浪 毅澤田 隆吾雪本 清隆阪本 一次山下 隆史
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2007 年 68 巻 7 号 p. 1835-1839

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抄録

総肝動脈神経叢に発生した神経鞘腫の1例を経験したので報告する.
症例は63歳, 女性. 肺炎にて加療中に, CTにて肝門部に約4cm大の腫瘤を認め, 超音波検査では嚢胞性部分を伴う低エコーの腫瘤であった. 造影CTでは腫瘤の造影効果は乏しいものの, 後期相にて腫瘤内部の隔壁様構造に淡い造影効果が認められた. MRI検査ではT1強調像にて低信号, T2強調像にて高信号の腫瘤として認められた. 肝十二指腸間膜内に発生した神経鞘腫やリンパ管腫を疑い手術を施行した. 肝門部に被膜を有する表面平滑な腫瘤が認められた. 腫瘤は総肝動脈との癒着が強く剥離, 摘出に難渋した. 術中迅速病理検査にて神経鞘腫の診断であり, 総肝動脈神経叢から発生したものと考えられた. 病理組織学的所見では, 良性神経鞘腫, AntoniA型とB型の混合型であった. 術後3年経過したが, 再発兆候は認めていない.

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© 2007 日本臨床外科学会
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