日本臨床外科学会雑誌
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症例
環状紅斑を契機に発見された超高齢者胃癌の1切除例
富永 恒平生島 裕文根津 理一郎吉川 澄土居 敏明川野 潔
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2008 年 69 巻 1 号 p. 63-67

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抄録

環状紅斑を契機に発見された超高齢者胃癌の1切除例を経験したので報告する.症例は97歳,男性.主訴は体幹部から四肢にかけての皮疹.平成14年8月頃より全身に掻痒感を伴う皮疹が出現,近医にてステロイド外用薬処方されるも改善傾向は認められなかった.平成17年10月当院皮膚科受診,皮疹の特徴より環状紅斑(匍行性迂回状紅斑)と診断された.内臓悪性腫瘍の合併が疑われ精査するに,上部消化管内視鏡検査にて胃角部小彎に0-IIa+IIc病変を認めた.生検より中分化型腺癌と診断され,同年12月幽門側胃切除術施行した.皮膚掻痒感は術後2週目より軽減,術後2カ月目には紅斑は体幹部,四肢とも完全に消退した.
本症例の如く,環状紅斑を伴った悪性内臓疾患症例は比較的稀であり,本邦では39例の報告をみるにすぎない.自験例はStageIBの早期胃癌で,97歳と最高齢であった.

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© 2008 日本臨床外科学会
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