抄録
目的:高齢者の全身麻酔下外科手術症例を分析し当院の現状把握と問題点を検討した.対象と方法:2002年1月から2006年12月まで80歳以上で全身麻酔下外科手術を受けた55症例59件の周術期管理と予後を検討した.結果:男性14例,女性41例,平均年齢84.9歳.主な対象疾患は悪性腫瘍31例,胆石・総胆管結石5例,閉塞性動脈硬化症5例などで,術前基礎疾患は,高血圧,脳梗塞,糖尿病が多かった.術後合併症を40件(67.8%)に認め,肺炎,せん妄,創部感染が多かった.術後30日以内死亡はなかったが,在院死を5例に認め,3例は姑息手術例であった.5年生存率は58.4%で,主な死因は癌死であった.予後因子の検討では,姑息手術および術前1週間以上の絶食症例で予後不良であった.結語:予後の観点から進行癌における症状緩和目的の手術の場合には,適応は慎重であるべきと思われた.