抄録
症例は78歳,女性.平成18年1月,左腋窩に腫瘤を自覚するが放置していた.その後腫瘤が手拳大程度まで急速に増大し皮膚の色調変化をきたしたため,同年5月に当科を受診した.来院時所見では左腋窩に12×10×10cmの弾性軟・可動性良好な腫瘤を認め,皮膚は暗赤色に変化していたが潰瘍は認めなかった.腋窩および鎖骨上窩にリンパ節は触れなかった.血液検査所見に異常はなく腫瘍マーカーは正常であった.乳腺超音波検査では正常乳腺との境界は明瞭で連続性は認めなかった.MRI検査では9.5×6.5×9.5cmの辺縁整・境界明瞭な腫瘍で,T2強調で低信号の被膜様構造を伴い,内部に一部嚢胞変性を混じた高信号の腫瘤を認めた.確定診断は困難で急激な増大を示したことから悪性腫瘍の否定が出来ず,全身麻酔下で腫瘍切除術を施行した.切除標本の病理組織学的検索では異所性乳腺から発生した境界型悪性葉状腫瘍と診断された.