日本臨床外科学会雑誌
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症例
骨盤腔内後腹膜に発生した巨大な悪性末梢神経鞘腫瘍の1例
常光 洋輔濱野 亮輔西江 学徳永 尚之大塚 眞哉大崎 俊英
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2008 年 69 巻 10 号 p. 2708-2712

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抄録

今回われわれは稀な骨盤腔後腹膜に発生した巨大な悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)の1例を経験したので報告する.症例は74歳,男性.右下腹部腫瘤を主訴に2006年3月来院.CT検査,MRI検査にて骨盤腔内後腹膜に境界明瞭な約15cm大の腫瘍を認め,2006年5月手術施行した.腫瘍は巨大で骨盤腔右側を占めていたが,周辺臓器への浸潤は認めず,経腹的に腫瘍を完全摘出した.摘出腫瘍は大きさ15.0×10.0×8.5cmで重量640gであった.病理組織学診断で長紡錘状腫瘍細胞の粗な増殖がみられ,核異型,分裂像を認めた.免疫染色でS-100は陰性であったが,NSE,vimentin,MIB-1が陽性を示していたことからMPNSTと診断された.術後経過は良好で術後17日目に退院となった.術後2年経過した現在再発は認めていない.

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© 2008 日本臨床外科学会
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